Wednesday, January 5, 2011

米国産科病棟の「赤ちゃん泥棒対策」と、手術室で使われるHand signal

産科病棟のオリエンテーションのため、朝7時に病棟へ。

米国の産科病棟は、どこもセキュリティーがタイトです。
"child abduction"(誘拐)を防ぐため、様々な工夫がなされています。
産科病棟内には、適切なIDがないと入れません。入り口も全て完全ロックされています。

また、生まれた赤ちゃんにはチップが添えられていて、赤ちゃんを病棟のフロアから無断で連れ出そうとするとエレベーターのドアが閉まらないようになっているそうです。

もし赤ちゃんの誘拐が起こった場合、病院中放送で「コード・レインボー」が出されます。
そのときは医学生もふくめ、全てのクルーが怪しい人物がいないか確認し、近くにあるドアから誰も出ないように構えなくてはなりません。

さて、オリエンテーション初めの30分は、産科病棟のナース2人が病棟の話をしてくれました。

ナースは朝6時半に回診を開始するため、医学生は患者さんを診る場合はその時間までに終わらせるように薦められました。それから「カスタマーズ・サービスの向上」のため、医学生にも協力してほしいと要請。妊婦さんをはじめ、家族の人みんなに気を配ってくださいとのこと。いつも耳にする「患者中心 (Patient-centered)の医療」に加え、今日は「家族中心 (family-centered) の医療」という言葉もナースの口から出ていました。

その後はインターンの案内で産科病棟のツアーに。
Triage室、分娩室、シュミレーションラボ、手術室、医師の共同オフィス(コンピューターなどが置いてあります)、Resident用ラウンジなどを見せてくれました。

また、産婦人科では手術が行われるので「手洗い方法(How to scrub in)」
のデモもありました。

産科病棟ツアーのあとは、Conference室でビデオを3つ見せられました。

まずは基本的な手術の手順と、よく使われる手術器材の紹介のビデオ。このビデオがまた退屈で、つらかったです(笑)。でも手術中に使われる「Hand signal」は少し興味を覚えました。
これは執刀医がsurgical assistant から器材をもらうとき、いちいち口で何が欲しいのか言わずに基本的なものは手の形と位置で示すというもの。

たとえば覚えやすいのはこれ。

ジャンケンしてるのではありません。まさにそのまんまで「ハサミちょうだい」です。

それからこちらは?



「メスおくれ」です。手がメスでカットするような形になっているのが良く分かりますね。

Original images :  http://library.sccsc.edu/surgtech/rogers/twelve.htm

のこりの2本は帝王切開と内視鏡による子宮摘出術のビデオでした。

午後はレクチャーが二つ。なぜかConference室のプロジェクターが壊れていて、パワーポイントが使えないという事態が発生。それでクイズ形式で、先生方が産婦人科のトピックの話をしてくれました。

2 comments:

  1. Cambellちゃんに教えられてやってきました。すごい! さっそく始められたんですね、ブログ。しかも、超おもしろい! 楽しみが増えました。
    産婦人科は来月子宮筋腫でお世話になるので、非常に身近に感じます。手術器具を手話で指示するのって、もしかして産婦人科だとオペによっては全身麻酔じゃないからだったりするんでしょうか。局所麻酔の処置を受けた時、医師の会話で不愉快な思いをしたこともあるので・・・。
    毎日忙しいのに大変でしょうが、更新を楽しみにしています! 

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  2. 基本的には執刀医とAssistantの仕事がスムーズに行くためということですが、おっしゃるとおり、患者さんを考慮して手話を使うという理由もあるようです。たしかに意識ハッキリしているのに「メスくれ」やら「ハサミ」、「針と糸~」なんて下(しも)の位置でささやかれるの、患者さんはいやですよね~(笑)。

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